ルーブル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画/国立西洋美術館

2009/3/20鑑賞
ルーブル美術館所蔵の17世紀絵画を紹介する展覧会となっており、印象残った次の4枚の作品の絵葉書を購入しました。
≪ド・ブロワ嬢と推定される少女の肖像≫ ピエール・ミニャール
王族の少女を描いた肖像ですが、明るい衣装やかわいらしいポーズ、緑豊かな背景など、典型的な17世紀フランスの宮廷絵画となっています。改めて見ると、やはり少しとっつきにくい雰囲気をかもし出していると思います。モデルは愛らしい子供なのですが。
今回はこのような展示が多いと想像していましたが、作品を見ていくにつれ、しだいに17世紀絵画世界の多様な面が見えてきます。
≪農民の家族≫ ル・ナン兄弟
この時代からは、この絵のような貧しい農民たちを描く絵画も登場してきたようです。ただし、貧しくも温かみのあるこの絵のような農民像はあくまで理想化されたものであることに注意が必要です。そこには、農民達の静謐な生活に美を発見した、新しい美意識とともに、彼らをあくまで鑑賞物として見なす、オリエンタリズム的視点も見え隠れするのです。
≪山岳地帯の川、スカンディナヴィアの景観≫ アラールト・ファン・エーフェルディナンゲン
17世紀は交通・通信の発達により、世界が大きく広がった時代でした。それは絵画にも現れており、画家が南米や北欧に出かけ、当地の風景を描いた絵画も残されています。この絵はスカンジナビアを描いたものですが、驚くのはその画面構成です。現在の観光写真や記念写真とほぼ同じアングルなのです。当時からのわたしたちの美意識が、いかに変化していないかを思い知らされます。
エスランの聖母≫ シモン・ヴーエ
対抗宗教改革の動きにために、絵画が利用されたのもこの時代でした。聖人を身近なものと感じさせるために、表情やポーズに親しみを持たせた宗教画が多数製作されたのです。聖母マリアとイエスを描いたこの作品もそのひとつです。禁欲的な雰囲気を漂わせながらも、マリアの女性らしさがよく感じられる、上品な作品となっています。