東京オリンピック/市川崑

2008/8/20-8/22
東京オリンピックの記録映画であるが、当時の世相を記録した、極めて良質なドキュメンタリーでもあると感じた。
たとえば開会式の場面では、多くの国の選手団が感動的なアナウンスとともに入場してくると共に、天皇の姿が映し出されるが、その姿がいかにも専制君主的であった。
陸上競技では、競技そのもののほかに、どこかユーモラスな観客の様子も描かれる。
自転車やマラソンでは、まだ牧歌的なところがあった、東京の様子が撮られている。
閉会式では、各国選手団が一体となって入場し、ナレーターは「かつてこのような閉会式があったでしょうか」と訴え、民族の一体感を称揚している。
この映画で監督は、同時代に生きていながら、未来から過去を見た視点で作品を撮っているように思えた。
時空を超えて当時の空気が届けられる感覚を久しぶりに味わえたような作品だった。