青い鳥/メーテルリンク

2007/12/9-12/29
クリスマスイブの晩に、青い鳥を求めてさまざまな世界を彷徨う兄妹の物語。
彼らが訪れる世界の中でも、「未来の王国」の描写がとくに美しかった。
「第一の子供:「時」のおじいさん、ぼくをあの子といっしょに行かせて下さい。
第二の子供:「時」のおじいさん、あの子といっしょに残れるようにして下さいな。
時    :だめだ。もうあと三百九十四秒しかない。
第一の子供:ぼく、生まれない方がましだ。
時    :かってに選ぶことはできないぞ。
第二の子供:「時」のおじいさん。あたしの生まれるときはあんまりおそすぎます。
第一の子供:あの子が生まれてくるときにはぼくもういないだろう。
第二の子供:あたし、もうあの人に会えないんだわ。
第一の子供:ぼくたち、ひとりぼっちになってしまう。
時    :そんなことわしの知ったことじゃない。そんなことは「生」のところへ行って頼むんだな。わしはただ命じられた通りに、いっしょにしたりわけたりするだけなんだ。さあ、行くんだ。
第一の子供:いやだ、いやだ、いやだ。あの子もいっしょに行かせて。
第二の子供:この子残しておいて。残しておいて。
時    :さあ、死にに行くんじゃないぞ。生まれに行くんだ。さあ、行け。
第二の子供:しるしを残して行って。たった一つでいいから、どうやってあんたを見つけたらいいのか教えて。
第一の子供:ぼくはいつだってきみを愛してるよ。
第二の子供:あたしは一番悲しいものになるでしょう。それで、あんたはあたしがわかるはずよ。」(202-203)