新・平家物語(二)/吉川英治

2007/8/26-10/5
?保元の乱の顛末 ?信西の権勢と新院方の大量処刑 ?信頼の権力掌握 ?二条帝の六波羅行幸 ?平治の乱の勃発
「余談を述べすぎたが、以下、主上の御車が、ひとたび、皇居を脱して、六波羅の門へ向かうや、いかにそのことの結果が、時局に急激な転換をきたしめたか。また大弐清盛なる二流級人物を、一躍、時代の主動的人物にさせて行ったか。驚くべき変化を読者は読まれるであろうと思う。いわゆる「六波羅行幸」と称んで、史家がこれを重視する理由はそこにあるのである。何しろ、いろいろな意味において、平安朝という世代は、この夜の御車をさいごとして終わったといえよう。藤原貴族政治四世紀の長い長い軌のあとを一切過去として、烏羽玉の現在を、さらに果て知らぬ未来へと、旋り急いでいたものであった。」(378)