信仰が人を殺すとき/クラカワー

2006/10/27読了
以前『週間ブックレビュー』で都築響一氏がこの本を紹介していた。その際、日本の地方に行くと、今でもこの本に書いてあるような不条理なことがある、と述べていた。私自身、都市に住んでいると見えにくい地方性・土着性に関心があり、この本を読んでみようと思った。
読み終わって、このアメリカの地方で起きている現象から、日本の地方独特の社会事象を連想することは出来なかったと思う。しかし、今後地方独特の奇妙な空気に出会ったとき、この本からヒントを得ることが出来れば、と考えている。
「「人々はおどろくほど騙されやすいものです」と、デロイは話を続けた。「ところが、宗教にどれほど心を慰められたか、それも忘れてはなりません。宗教はあらゆることに答えてくれます。人生を簡素なものにしてくれます。預言者から命じられたことを実行するのですから、これほど気楽なことはありません。(中略)多くの人々がくださなければならない重要な決定を自分でしなくてもすみますし、その決定にも責任がないのです」」
「「信仰生活をつづけている人々は―このコロラド・シティに暮らしている人々は、たぶん、ほかの土地の住民たちよりも、全体的に見ると、幸せだろうと思います。だが、人生には、幸せよりも大事なことがあります。たとえば、自分で自由にものを考えることです」」