秘密結社の手帖/澁澤龍彦

2006/10/13読了
「あらゆる時代に、儀式の秘密を所有することによって、俗世間の人間のあいだから自分を区別しようと努力した人たちがいたのである。そういう人たちが集まって、小さな集団をつくる。その方法は様々に違っていても、この秘密に一つの制度としての形式を与えようとする志向は、人間の魂に抜きがたく染み付いた傾向であるように思われる。だから心理学者や社会学者の目に、この儀式は、特定の秘密結社によって追及される特定の目的に等しい重要な意味を持つ。儀式、試練、符牒−この三つこそ、秘密結社と一般の団体組織とを区別する決定的なポイントであろう。」