フランドル・バロック

イタリア・バロックに続いて、講談社より発刊されていたシリーズ「名画への旅」のフランドル・バロック編を読んでみました。
タイトルは『豊かなるフランドル』。その名前がまさしく示すとおり、神話画・肖像画・風俗画・花卉画など、紹介されるジャンルは多岐にわたります。フランドル・バロックの画風となると、なかなか答えが出ないかもしれませんが、このジャンルの豊かさこそが、この地域の17世紀の絵画を特徴づけるものなのかもしれません。
そして、この画風をとおし、初めてルーベンスの描く裸体を美しいと思えたことも、書いておかなければなりません。
ケネス・クラーク曰く、ルーベンスの描く裸体は、日本人にとって極めてグロテスクなものに映るのではないか、とのこと。確かに、白黒でみれば、その太めの体型や脂肪にはあまり美しいものとは思えません。しかし、カラーで印刷のよいこの画集を見れば、印象は一変します。とにかく輝くようなその肌の質感の素晴らしさ。この画家がティツィアーノルノワールと並び称される、裸体画の巨匠と言われるのも、宜なるかなと思えます。

名画への旅(13) 豊かなるフランドル―17世紀3

名画への旅(13) 豊かなるフランドル―17世紀3