ロベール・ブレッソン特集

2009/4/13-22鑑賞
シネフィル・イマジカで放映された、ロベール・ブレッソン作品集を見ました。(『スリ(掏摸)』『バルタザールどこへ行く』『少女ムシェット』『ラルジャン』)
どの映画も、静謐な演出の中に、運命論的な悲しみが描かれていると思います。
『スリ』の主人公は、強迫的に盗みを重ねるしかない。バルタザールの目からは、小さな町のやりきれないほど醜く、薄っぺらい人間関係が見られる。いやなことを体験し続けるムシェットは、どんどん人間嫌いになっていく。冤罪による嫌疑をかけられた男は、実際の犯罪に手を染めてしまう。
どのストーリーにも、鑑賞後にまったく救いを感じることができませんでした。それは監督の趣向、あるいは人間観から来ているものかもしれません。ただ、自分の幼少時代にもムシェットのような女の子が身近にいたことも考えれば、それぞれの社会の一部分に固執して同じ主題を変奏しつづけた、そのような映画を撮っていた監督であると考えることもできると思います。