ロバと王女/ジャック・ドゥミ

2007/9/25
シャルル・ペローの童話を元にした作品。実の父である王から求婚された少女の顛末を描く。
監督は『シェルブールの雨傘』のジャック・ドゥミだが、青・赤・パステルの鮮やかな色使いや、幸福感を感じる音楽の使い方はこの作品でも生きている。とくに、主演のド・ヌーヴが歌を歌いながら、王子のためにお菓子を作るシーンはとても可愛らしく、好きになれた。
ド・ヌーヴは王子との結婚相手に選ばれ、ラストシーンは結婚式の場面になるのだが、そこに彼女の父親夫婦がいきなりヘリコプターで現れ、父娘は再開を果たす。この突然の展開には面食らってしまったのだが、このような印象こそ、坂口安吾の言う「物語のふるさと」だろうか。
映画全体も、可愛らしさの中に俗悪さが漂い、ただの子供向けの童話ではない。